15世紀に村田城が築城され、江戸時代に水運を生かして仙南地方における紅花の集積地となって栄えた現在の宮城県柴田郡村田町(むらたまち)。
中心市街地には、「なまこ壁」が多く用いられた「店蔵」(たなぐら)と呼ばれる土蔵造りの店舗と豪壮な表門とが並ぶ古い町並みが残っており、このかつての伊達家の直轄地は、「みちのくの小京都」としても知られる歴史ある場所です。
また蔵王山麓に位置し泉韻豊かな自然に恵まれた場所であることから、必然的にうまい酒が出来る場所でもあります。
この地で正徳二年(1712年)より酒造りをおこない、おいしいお酒を提供しつづけているのが大沼酒造店。
創業から300年余、旨い酒造りを目指し、現在でも麹造りからすべて手造りで、伝統の寒造りの技を活かした高品質な酒を醸しています。
驚くのが大沼酒造店の全てのお酒は「仕込み1トン以下」。
普通の酒蔵なら「大吟醸」を醸すような小仕込み。ひとつひとつの丁寧な酒造りが伝わる、まさに味わい深いお酒となっています。
実はご存知かもしれませんが、東日本大震災でこの蔵は壊滅的な被害を受け、23BYの造りが出来ない可能性もありました。
しかし、「乾坤一」という芯の強いお酒の復活を信じて疑わなかった酒好きと酒蔵の方々の強い思いが通じ合い、大改修工事によって蔵の再生が行われ、見事に復活を遂げた「乾坤一・大沼酒造店」は、2012年に300年目の新たな一歩を踏み出しました。
そんな丁寧な酒造りと熱い思いがほとばしる大沼酒造店のお酒はどのお酒も非常に美味しいのですが、今回ご紹介するのは、乾坤一(けんこんいち) 純米吟醸生詰原酒「ひより」。
こちらの酒米は宮城県の酒造米『ひより』を使用しています。『ひより』とは、「山田錦」を母、「ササシグレ」を父にもつ酒造米で、平成12年に誕生したばかりの酒米。
このお酒は爽やかな吟香で、みずみずしくスッキリとした味わいで、宮城県のおいしい魚介類とピッタリです。
さらに少し温度があがってくると、みずみずしい味わいの奥から、たっぷりのウマミと酸味が感じられ、飲むほどにこのお酒の芯の強さを感じることができます。
あの震災にも負けず、伊達家直轄の地でつくられてきた丁寧なお酒を是非味わってみてはいかがでしょうか?
お酒の情報
銘柄名:純米吟醸生詰原酒「ひより」
酒蔵:大沼酒造店(宮城県柴田郡村田町)
原料米:ひより
精米歩合:50%